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?Aすみ肉の形状
すみ肉の脚長は静的強度の場合と同様、疲労強度の面からも板厚程度あれば十分で、それ以上大きくしても効果がない。ただし、斜交継手の場合には、鈍角側の脚長を板厚の1.6倍程度まで割増しすることが必要である。また、溶込みは板厚の10〜30%程度までとして深くする必要はない。ルートの溶込み不良は疲労き裂の発生と関係するので、あってはならない。
すみ肉で注意を要するのは形状である。米国溶接学会35)ではすみ肉の形状を図3.37のように規定しており、図中の凸すみ肉量cは実際の余盛面幅の0.07倍に1.5mmを足した値を超えてはならない。また、不良例が図中の(c)であり、寸法不良も含めて6種類が挙げられている。

 

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図3.37 すみ肉の形状(米国溶接学会)35)

 

現場でしばしば見受ける不良例は脚長が大きく、かつ、過大な余盛と、縦方向の脚長不足である。後者はトーチ角度の不良で、重ねて溶接することにより補修できる。問題は前者であり、一般に余盛を大きく盛れば強くなるという誤解があることを注意したい。
過大な余盛は止端半径が小さくなりがちで、応力集中を招きやすい。図3.38は曲げを受けるT継手について、余盛のフランク角θをパラメータとして止端半径と板厚との比ρ/tが応力集中率αに及ぼす影響37)である。これから分かるように、αに最も影響を及ぼすのは止端半径ρである。例えば、板厚t=5mmの場合にθ=140°としてαを1.5程度に抑えるには、ρ=1.2mmは少なくとも必要であり、ρ=0.6mmではα≒2となる。したがって、過大な凸型の余盛は、応力集中によって疲労き裂を発生しやすいから、機関台座等に見受けられる場合にはディスク・サンダーで仕上げるのがよい。なお、ρ/tが0.05程度より小さい厚板

 

 

 

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